今回は中ボルトとHTBの使い方です。
前回のまとめをすると、
■ 中ボルトは中ボルトは「釘」。
ささってればよい。
ゆるみ止め(ダブルナットか点溶接)
■ HTBは「万力」。
締付力と摩擦面の処理が大切。
トルシア型をシャーレンチで締める。 |
◆溶接注意
一般的な接合部で溶接とボルトを併用して両方の耐力を足したいという場合があります。併用が出来るかどうか。出来るとして溶接とボルト締め付けのどちらを先にするかは難しい問題があり、専門家の判断によらねばなりません。一般的には併用できないと思った方がいいです。<図1>


ゆるみ止めや単なる保持のための点付の場合、締め付けた後でボルトやその周囲をたくさん溶接しないこと。熱でゆるんだり変形してしまいます。特にHTB=摩擦接合は高い摩擦力を得るための高度な技術を前提にしており、加熱は厳禁です。
◆中ボルト
締め付け力のきまりはないですが、ゆるみ止めが必要です。ダブルナットまたは溶接ボルト(図2)、溶接ナット(図3)としましょう。座金があるときは、ボルトと座金、座金と母材も点溶接します。
ナットからはみ出るボルトを余長(よちょう)といい、「ネジ3山」分必要ですが、わかり難いですからナット1個分と憶えておきましょう。
◆HTB
JIS型とトルシア型があります。
・JIS型は頭が六角(図4)。普通の中ボルトと殆ど同じですが頭に刻印があったりします。締め付けは手動のトルクレンチで締めます。締め方が難しい上、工具も大きくて我が業界で一般的な不安定な足場の上ではきちんと出来ません。締まっているかどうかも専門家でも判断が難しいため監理が大変です。
・トルシア型は頭が丸(図5)。ナット側を電動工具(シャーレンチ)で締めます。
(中ボルト用のインパクトレンチではありません。)
締め付ければピンテール(しっぽ)が切れているのでわかります。図6は原理です。建築で使っているのは全部このタイプです。我々も建築と同様にトルシア型を使い、必ず専用工具で締めるようにしましょう。締め付けに先立って、鉄骨は塗装しないでブラストするなどして摩擦力が出るようにします。
摩擦面の処理にせよ、締め付け方法にせよかなり難しい技術なので、経験のない工場では教えても出来ません。反面、専門の鉄骨工場であれば、任せておけば大丈夫。
◆難しいHTB
HTBは小さなボルトで大きい耐力が出る優れた工法です。
一方、細い材料に大きな穴を開けてはいけませんから、ボルトと材料の幅はきまりがあります(M16のボルトはL65以上のアングル等と)。ボルトが小さく出来れば材料も細くできるのでHTBを使うことによってコンパクトな接合部が設計できます。
いいことづくめなのですが、しかし、高い耐力を期待しているだけに施工が不完全では却って危険です。当社ではなるべく中ボルトで設計するようにしています。摩擦係数だ、締め付け力だとうるさいことをいわなくても、刺さっているだけで何とか持つからです。監理も簡単です。ゆるみ止め(ダブルナット)だけ注意していればいいのです。
例えば、袖看板の背中のボルトをHTBで設計する例などを見かけます。設計自体は正しいです。でも、施工のこと考えると、あまりに狭いとHTBが締め付けられません。また、防錆上、鉄骨は錆止め塗装せざるを得ない。しかも、本体とブラケットの間に外装(板金)を挟んでいます。それでも、いいのかどうか。製作する方は構造設計者とよく相談する事も必要です。
因に、構造図には塗装や外装の納まりまで書きませんので、役所の許可などはとれます。
次回はアンカーボルトを考えてみましょう。
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